こんにちは、いしおです。
僕は沖縄・久米島の
地域おこし協力隊として
勤務しているのですが、
活動を通じ町内外の
いろんな地域おこし協力隊の人と
接する中で、
地域おこし協力隊として働く上で
特有な、かつ重要な考え方ってあるな、と
思いました。
そこで今日は、
地域おこし協力隊として働く上で、
たったひとつだけ大切なことを
挙げるとすれば何か、について
紹介します。
「地域に入る心得」みたいなのは
いろいろあると思いますが、
少なくとも地域おこし協力隊として
働く上では
たぶんこれが一番大事です。
地域おこし協力隊に一番大切なのは「他責NG」
地域おこし協力隊として働く上で
もっとも大切なことは、
「他責NG」であること。
そう思います。
他責NGとは
他責NGとは、
時間や環境、人など、
何かや誰かのせいにしないことです。
これは、僕のファーストキャリアである
「ワークスアプリケーションズ」という会社が
行動規範としている「ワークスウェイ」の
一つです。
詳細:「ワークスウェイの話をしようか -vol.1:他責NG – 「年間100曲」ペンギンスのコーライトな日々」
なぜ他責NGの考えが大切なのか
地域おこし協力隊って、
正直、やらない理由を
「何かのせい」にしやすいな、と思います。
たとえば、「お金」
例えば、「お金」。
田舎は基本的に、
行政も民間も、
資金が潤沢にあるわけではありません。
何かしら新しいことをはじめようにも
「でも、お金がない」と
一蹴されてしまうことが多くあります。
そんな中で仕事をしていると、
できない理由を
「お金」のせいにしてしまいがちです。
たとえば、「人」
例えば、「人」。
何かをはじめようにも、
本来責任を取るべき人に
リーダーシップがなく、
物事が進まないことは
往々にしてあるでしょう。
地域のしがらみに悩んだり、
はては「ワシは聞いていない」と
怒りやすい人対策に
周到な根回しをしなければならず、
何かを始める前に
疲弊してしまうこともあるでしょう。
誰かの気分や
「あいつが気に食わない」という理由で、
これまで積み上げてきたプロジェクトを
壊されてしまうこともあるかもしれません。
そんなときはどうしても
できない理由を
「人」のせいにしてしまいがちです。
たとえば「行政」
特に多いのは、
役場など行政への不満です。
行政はその性質上、
基本的には
「性悪説」にのっとった考えを行い、
「保守的」で、
「管理主義」です。
仕組みとしてこうなりがちなので、
「誰が悪い」という
問題でもないのだと思います
(変えられたらすごいことですが)。
が、やりとりの煩わしさや
融通の効かなさに
苛立ってしまうこともありがち。
何よりもマスメディアに
煽られてかわかりませんが、
正直
「とりあえず役場や役所は批判しておけばOK」みたいな
ひどい風潮もあると思います。
したがって、
「役場や役所が
○○をやってくれないからできない」と、
行政のせいにもしがちです。
たとえば、「地域」
そもそも、
地域おこし協力隊として
任命されるエリアって
だいたい「条件不利地域」と
呼ばれるような所ばかりなので、
起業するにも就業するにも
正直難易度は高め。
だから、できない理由を
「地域」のせいにしてしまいがちです。
地域おこし協力隊の「評価されなさ」
そしてなにより、
「地域おこし協力隊」には、
信賞必罰がほぼないこと。
これも、何かのせいにしやすくなる
構造上の問題だと考えています。
信賞必罰がない、とは、
どういうことなのでしょうか。
一所懸命に地域のために働いている人も、
ルールを守りつつ適当に働いている人も。
「地域に馴染むため」と
あまり乗り気ではない飲み会に毎回出席する人も、
業務時間が終わったらサクッと家に帰り
誰ともかかわらない人も。
優秀な成果を挙げる人も、
とくに成果を挙げていない人も。
同じ配属であれば全員同等の待遇となります。
企業のように、
待遇に連動した評価制度がある
地域おこし協力隊は、
ほぼ存在しないと言って
いいのではないかと。
そもそも「地域おこし協力隊」の
本来の趣旨は、
地域へ移住定住を目指す人向けの
助走期間の支援なので、
待遇を期待する
制度ではありません。
しかし、例えば
「町の教育改革」
「地産地消の推進」
「移住定住の推進」などと
ミッション先導型の地域おこし協力隊が
どの自治体でも多くなる中で、
課題解決に貢献した成果を挙げたなら
きちんと地域から評価されたい、
という気持ちが湧くのも当然でしょう。
そして、地域のために
頑張っても評価されないのであれば、
どこかのタイミングで
「ああ、報われないなあ」と
思ってしまうことがあるのも確かです。
地域のために頑張っても
報われないのであれば、
無理して地域のために
頑張りたくもない。
そして、頑張らない理由として、
「何かのせい」にする。
これは構図として
発生しやすいことなのだと
理解しています。
地域のために頑張るのではない、
自分のために頑張るのだ、
自分のやりたいことを実現させるのだと
思って取り組むのが理想的ではあります。
しかし、「地域のため」という活動を
求められがちな制度でもあるため、
100%自分が好きなことを好きなように
やれるわけではありません。
したがって
「地域のために頑張り成果を挙げても報われない」
と、任期中のどこかのタイミングで
つらくなることがある。
自分も体験しましたし、
他の自治体の地域おこし協力隊でも
そのような様子は散見されます。
何かのせいにしやすいから、何かのせいにしない努力を
以上のように、
地域おこし協力隊は、
本人の優秀さや
マインドセットにかかわらず、
どうしても、
「何かのせい」にしがちだな、と
思ってしまうのです。
でも、何かのせいにしても、
最終的には回り回って、
自分が損するだけです。
何かのせいにする癖がつくと、
仕事でも私生活でも、
人としての価値は
大いに下がるでしょうから。
たとえ自分のやりたいことであっても、
できない理由や、やらない理由を
何かのせいにしやすいから。
より一層、何かのせいにはしないよう
努力しなければいけない。
そう思います。
何かが原因で、
やるべきことができていないなら、
その障害があるから諦めるのではなく、
その障害を躱すか壊すかして、
少しでも自分の理想に近付こうとする。
そんな姿勢が大事なのだと。
僕が尊敬する地域のプレイヤーたちは、
皆さんこんな姿勢で取り組んでいるな、と
思います。
職場として不満があるなら、さくっと辞めるのも手
よくメディアなどで話題になるのは、
「働き始めたらブラックだった」という
「ブラック自治体」の話題です。
もしくはブラック自治体と言わないまでも、
採用時のコミュニケーションミスなどで
想定していた仕事と
実際に働く仕事が違う、といったケースも
あるかもしれません。
そのような場合は、
果たして「他責NGだから」と、
踏ん張り続ける必要があるのでしょうか。
個人的には、こう思います。
人生は短い。
地域おこし協力隊に限らず、
嫌な仕事とか
「ああ、キャリアとして失敗したな」と
思うことがあれば、
さくっと辞めてしまうのもアリだ、と。
とはいえ、短い期間で
退職や転職を繰り返してしまうと、
「辞めグセ」がついてしまうことも
あるかもしれません。
辞めグセをつけるのは、
それほど良いことではないように思えます。
どうしたらよいのでしょうか。
僕は、
辞めるべきか残るべきかどうかを
考える際には、
「どちらの選択をしたら、人生が先に進むのだろうか?」
という問いを投げかけるのをおすすめしています。
不満のある環境で耐える時期も
人生を先に進めてくれるかもしれませんし、
フットワーク軽く動いたほうが
人生が進むかもしれません。
でも、どちらにしても、
他責NGという原理だけ守れていれば、
残ろうが動こうが、
「何かのせい」や「誰かのせい」にしないで済む。
そう思います。
「他責NG」によくある誤解
ちなみに他責NGで誤解されやすいのは、
「本当にやるべきでないと思っていたり、
やりたくないことなのに、
『他責NGだ』と考え、
物事を背負い込んでしまう」
みたいなケースです。
他責NGとは、
「やるべきことに対して
できない理由を探すのではなく、
限られた条件下で
少しでもベターな解決策を探す姿勢」
だと理解しています。
だから、やらない方がよいことや、
やる意味がないことは、
やらない。
むしろ、
やるべきでないと思っているのに
流されてしまうことこそ
他責にしているのだとも思います。
終わりに
他責NGとは、
誰かを恨んだり、呪ったりしながら
生きていかなくてすむ考え方
ともいえます。
この記事が地域おこし協力隊として働く皆様、
もしくは今後、地域おこし協力隊に
なるかもしれない皆様にとって
なにかの参考になれば幸いです。
とはいえ、
かなりストイックな考え方だと思うので、
まあ、ほどほどに。